#6 Crashcrashcrash

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―― 正面玄関から、一人の男が入ってきた。 この城の主、プレジデント・ジックである。 ガラスが散々に割れ、シャンデリアが落ちている。 ジックはそれは意に介せずだった。 そこには誰もいなかった。 こちらの方が彼の額に青筋を立てた。 「おい、ヴァンクホルム」 ガラスの杭で地面に打ち付けられている男に声を掛ける。 反応はない。 ポケットから手の平に収まるタブレットを取り出す。 操作すると、横たわるヴァンクホルムの身体が少しよじれ、そして跳ねた。 「ヴァンクホルム、ドクター・ジェイコブスとヒリュー・サカモトはどうした」 声を掛ける。 するとヴァンクホルムは顔を震わせながら持ち上げる。 「逃が……し…ました……」 「殺せ」 「は……」 「全て殺せ」 ヴァンクホルムは手を伸ばした。 地面に転がるクラッシュクラッシュクラッシュを掴む。 蛇のようにぬるりと立ち上がり、ニタリと笑った。 「仰せのままに」
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