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――
正面玄関から、一人の男が入ってきた。
この城の主、プレジデント・ジックである。
ガラスが散々に割れ、シャンデリアが落ちている。
ジックはそれは意に介せずだった。
そこには誰もいなかった。
こちらの方が彼の額に青筋を立てた。
「おい、ヴァンクホルム」
ガラスの杭で地面に打ち付けられている男に声を掛ける。
反応はない。
ポケットから手の平に収まるタブレットを取り出す。
操作すると、横たわるヴァンクホルムの身体が少しよじれ、そして跳ねた。
「ヴァンクホルム、ドクター・ジェイコブスとヒリュー・サカモトはどうした」
声を掛ける。
するとヴァンクホルムは顔を震わせながら持ち上げる。
「逃が……し…ました……」
「殺せ」
「は……」
「全て殺せ」
ヴァンクホルムは手を伸ばした。
地面に転がるクラッシュクラッシュクラッシュを掴む。
蛇のようにぬるりと立ち上がり、ニタリと笑った。
「仰せのままに」
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