#1 Insomnia

2/47
90人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
大宇宙でとある三流の殺し屋が話題になったことがある。 その名をコールビー。 宇宙でも有名な大企業と同じ名前で、あっという間に覚えられた。 あだ名は「二足歩行の狂犬」とか「糸のからまったガンマンドール」とか中傷交じりのものばかりだった。 ――なぜ、三流なのか。 その銃の腕前は「10発に1発当たる」とも「100発に1発当たる」とも言われていたほどにお粗末だったのだ。 だがそのしょぼい殺し屋は予想に反してしぶとく生き残り、死ぬほうに賭けていた賭博師はみな天を仰いで死を願う。 祈りが通じたか、コールビーはあるときパタリと姿を消した。 「とうとうおっ死んだか」 と、このくだらない笑い話も冷めてきた頃 ちょうど入れ替わるようにして超一流の殺し屋の話題が宇宙に流れ込んだ。 なぜ超一流なのかは定かではなかった。 「目を合わせると死ぬ」とか「知ると死ぬ」とか奇怪な噂だけが流れていた。 独り歩きする噂とセットで流れた名前がある。 その名は 「紫弾のアプリコオ」
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!