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Zero
貴女に、これをあげる
その美しい人は、そういって妖しく笑った。
瞳の奥が緑色に光る。
男か、女か。
それすらも定かでない、中性的な姿と声。
柔らかなウェーブの黒髪がさらり、とゆれる。
暗い店内。
無機質な冷たい鈍色のカウンターに、音もなく置かれたのは、銀色のスティック。
「えっ・・?」
彼女が怪訝そうに視線を上げると。
相手は、ふっと笑ってこう言った。
それが貴女の望むモノ。
ゆらり、と視界が揺れる。
暗転。
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