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私立神楽学園(かぐらがくえん)。
大きな島一つが丸々学園の敷地とゆう小学校から大学までを全て一貫する超名門のエリート学園で別名【夢が約束される場所】と呼ばれている。
そこに通う生徒の四割は才ある富豪の子供、三割はスポーツ等に秀でた所謂天才ーーそして残りの三割は、部活に職業の部があるとゆう特殊な形体の学園である(アイドル部や探偵部等)事から、あらゆる種類の職業の天才達とゆう正に日本の未来を担うのを当然の様に約束された子供達が集まる場所だ。
そんな学園の超難関な試験を小さな頃から父親から教わっていた経営学を武器にして無事パスした僕は、学園指定の巨大な客船へと乗り込み島へと向かっている最中とゆう訳なのだ。
「ふぅ……暇だなぁ~……」
船に乗り込んでから既に二日が経過し、すっかり暇をもて余した僕は、デッキのフェンスに肘をつきながら水平線の向こうへと沈む夕陽を見て黄昏ていた。
学園には明日の朝に着くらしい。
春休みをこんな無駄な使い方をするとは誤算だったな、とそんな事を考えていた僕のポケットの中で携帯がメールの受信を告げる音楽が鳴った。
「お?」
携帯を取り出して期待と共に確認すると、やはり送信相手は【彼女】からだった。
【透明彼女】。
まだ本名も知らないお互いをハンドルネームで呼び合う彼女とは、悩み事を打ち明けて相談し合うネットの掲示板で二年前に知り合った。
僕は当然自分のルックスについての悩み、彼女はもう無くなったらしいけどクラス内の人間関係についての悩みで掲示板に書き込んでいた。
お互いの悩みを打ち明け合った僕達はいつの間にか意気投合し、付き合う事になった。
そう、今回の転校も彼女と過ごしたいが為にわざわざこの学園を選んだんだ。
『早く会いたいな』
シンプルで飾りっ気の無いメールに『明日になったら会えるよ! 僕も楽しみにしてるよ!』と返信した僕は、携帯をポケットにしまって明日からの薔薇色の青春時代を想像しながら再び夕陽へと視線を送った。
ーーその時、突然背中に痛みが走った。
「うへぁ!?」
間抜けな声が口から漏れたと同時に体がフェンスの向こう側へと前のめりに乗り越え、視界が海へと真っ逆さまに反転する中、反射的に目の前にあった船首の突起物を掴んで辛うじて落下は免れた。
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