第1章

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 鬼が里は山間深くにある集落でした。外からの交流を絶った隠れ里です。 「悪さをすると鬼が来るよ!」  桃太郎の住む村人達はそう言って子供を叱っていました。  目尻の長く、切り裂けた口元からは牙が生え、角の立った恐ろしい形相。山で熊に襲われた者を見ては「鬼が……」崖から落ち、又は川で溺れた者を見ては「鬼が……」  根拠の無い噂は尾ひれが付き、軈て村人達は鬼を恐れ永らく鬼の里に近付く者はありませんでした。 「面白い! 俺様が成敗してくれるわ!」  早速と桃太郎は消し団子をお腰に付け、犬、猿、雉を供に鬼が里へと向かいました。
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