0人が本棚に入れています
本棚に追加
険しい山を越え、深い谷を渡って漸くと鬼が里に入った桃太郎は、そのあまりにも平和な村の様子に拍子抜けをしていました。
村の女性は皆目を見張らんばかりに美しく、男共は厳ついながらも総じて愛想が良い。桃太郎達は困惑してしまいました。
「本当にここなのか?」
桃太郎は犬に問い掛けました。
「間違いないと思うけど……」
犬には自信がありませんでした。猿も雉も聞いていた鬼の様子と違う事に違和感を覚えていました。
「でもあいつら、桃さんに似てないか?」
猿が雉に向けてぼそっと呟きました。それを聞いた桃太郎は烈火の如く怒りました。
「俺が鬼に似てるだと!?」
猿は殴り飛ばされてしまいました。そんな桃太郎を犬と雉が慌てて止めに入りました。
「それより、あそこが村長(ムラオサ)の屋敷みたいですよ」
最初のコメントを投稿しよう!