第1章

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 鬼が里にはきびで作った団子がありました。それはお爺さんが作っていた消し団子にそっくりでした。 「ここにも消し団子があったのか? これはいい。もっとこれを作れ!」  手元の消し団子も残りが限られていました。もう消し団子を作ってくれるお爺さんはこの世に居ません。  桃太郎は内心焦っていたのです。ですからきび団子を見た桃太郎は大いに喜びました。  しかしきび団子にはケシは入っていません。いくら食べても気持ち良くはなりませんでした。怒った桃太郎は村長さんに娘を差し出せと言いました。 「これ以上はご勘弁を……」  静かに頭を下げる村長さんを、桃太郎はこん棒で無茶苦茶に撲りました。  頭から血を流した長さんは、一度も目を覚ます事無く二日の後に息を引き取りました。  隣の部屋に隠れていた村長の一人娘は、ひっそりと声を殺して泣きました。
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