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それに、この香り!
アイスクリームって、こんなにも
優雅な香りがする物だったっけ?
私は、まるで花を香る様に、禿げんダッツ アイスクリームの香りを楽しんだ。
そして、手渡された銀のスプーンを禿げんダッツ ホワイトハニージンジャーに優しく突き立てると、スプーンは、何の抵抗も無く、スルスルとアイスクリームの中に吸い込まれて。
「カッチンカッチンに凍ってるのに、柔らかい!」
私が感動しながら、銀のスプーンに優しく乗ったアイスクリームを口に運んだ、その瞬間。
―――ビビッ!
身体中を駆け抜ける、甘い電流に
身体中が、甘く痺れる。
あ、駄目…………
意識が飛びそう…………
……美味しさに気を失いそうに成るなんて……こんな事って、有り得るの?
心臓が跳び跳ねるような、こんな感覚は、恋をした時以来かも……。
二口、三口と、禿げんダッツ ホワイトハニージンジャーを口に運べば、
その度に、身体の芯が甘く痺れる。
こんな、こんな美味しいの、始めて!
ガツガツと夢中になって貪れば、小さなカップアイスクリーム何て、直ぐに無くなり
「あ。」
そのカップの底に、文字が見えた。
<あたり>
「やだ、当たっちゃった?」
私の脳裏に、あの都市伝説が浮かび上がる
――カップの底に<あたり>が出たら禿げてしまう――
まさかね。何て思って<あたり>の文字を見ていたら、錯覚だろうか?カップの底が淡く輝き出し……
―――ドン!
衝撃と共に淡い輝きは閃光となり、私の視界を埋め尽くした。
…………◇…………◇…………
…………。
「ん……?」
気が付けば私は、空になった禿げんダッツのカップを手に、ボンヤリと空を見上げていた。
「やだ、私ったら、もしかして放心状態だった?」
どれくらいの時間が経ったのだろう?
蒼かった筈の空が黄昏の刻となり、美しいグラデーションを見せているから、数時間は経過していそう。
「何が起こったの?」
状況が理解出来ない私が、キョロキョロと辺りを見渡せば、
手に持つ禿げんダッツの、空になったカップが、またボンヤリと淡く輝いた気がする
そうだ、さっき禿げんダッツのカップが輝いて……
いや、馬鹿な。そんな事無い。有り得ない。
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