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「はぁ―……」
仕事が終わり、帰路に着いていた。
今日も怒られたな、と思い出し、再びため息を吐いた。
言われていることが中々思うように改善出来ず、同じことで何度も怒られたのだ。
素早く行動しろ、と上司に言われても、未経験のことばかりで戸惑い、悩み、不安ばかりの私にとっては無理難題に近かった。
言われた通りに動けば別のことが疎かになり、再び怒られるという悪循環の日々。
最早精神的に疲れを感じていた。
――キンッ
と小さな金属音がし、不意に足を止める。
今、なにかを蹴ったような気がし、足元を見ると鍵があった。
もしや、これか?
一体なんの鍵なのか?と思い、形は奇妙であった。
鍵の上は星形、下は複雑なギザギザ模様で表裏にも似たような模様が施されており、非常に奇妙な形の鍵で、明らかに複製は難しいだろう。
なくした人はとても困っているだろうな、と思い、携帯電話を取り出した。
検索ワード 近くの交番
どうやら交番は現時点から近くにあるようだ。
遠回りになるが、仕方ない。
鍵をギュッと握り締めた瞬間、視界が揺れた。
そして、脳裏にある光景が浮かび上がり、疑似感を覚えた。
あれ?今のは……私じゃないか!
しかも、また上司に怒られている光景だったが。
え?今のは、一体なんだ?
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