どうしましょう?

6/7

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「コップ一つでも持ち帰ったり、オーダーの後に他のテーブルのシルバーセットを持ち帰ったり、料理提供の後に食べ終わった食器を持ち帰ったり、なにか一つでも持ち帰って行かないといつまで経ってもテーブルが片付かないでしょ。」 わかっている。 しかし、エリアを一人で回すために料理提供等を急ぐあまりに食器を『持ち帰る』という選択肢がいつの間にか私の中で最下層になってしまうのだ。 「ここのエリアがいつまで経っても空かないと他のエリアに案内することになって、そのエリアの担当の人が大変になっちゃうでしょ。」 わかっている。 空いている座席に客を案内しなければならないのは当然であり、空いている座席が他のエリアにあるならそこに優先的に客は案内される。 つまり、一つでも座席に埋まっていれば、片付けない限りそのテーブルに客は案内されず、片付けばすぐに案内されてしまうということだ。 そうなってくると――。 「空いた時に一気に入ってくることになるから大変になっちゃうでしょ。」 そう、一気に客が流れ込んでくるのだ。 それが如何に大変なことなのか、私は知っている。 上司は言いたいことを言って満足したのか、再び自分の仕事へと戻って行った。 その後ろ姿を眺めた時、昨日見た光景はここで終わっていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加