始まりの(アホ)節電計画

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 そして、夏休み初日の今、俺は、自由研究、直接的に言えば節電をすべく、クーラーをつけずに自室で過ごしていた。しかし―――― 「無理だ。死ぬ……」  午前十一時。開始から三時間で、早くも俺は音を上げた。  室温が三十度を超えている時点で限界だ。というかなんで外のほうが室内より気温が低いんだ。 「窓、開けよう……」  窓を開けた。 むわっ 「ふんっ!」  思いっきり窓を閉めた。 「殺す気かあ!」  いや窓に叫んでどうするんだ、俺。 「だめだ、もう脳さえまともな働きをしなくなってきた」  このままじゃ本当に死んじまう。もうやめにするか。 「でも、あのじいちゃん先生、すごい厳しいからなあ」  三年の一学期まで、ずっと理科の成績が五段階の五だった先輩が、たった一度、二学期に提出物を出し忘れただけで成績が一に下がり、有名私立への推薦が帳消しになった話は、うちの中学の語り草になっている。 「とりあえず、水を飲もう」  このままじゃ、脱水症状と熱中症のダブルコンボをダイレクトアタックされてライフポイントが激減のピンチに―――― 「はっ?」  俺は今いったい何を考えていたんだ? 「や、やばい……。早く水を飲みに行こう……」  暑さではなく恐怖で出た汗をぬぐいながら、自分の部屋のドアを開ける。 「うっ……」  あたりまえだけど、部屋の外も暑いな。
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