始まりの(アホ)節電計画

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「うるさあああい!」 「ぐふぁ!」  ソファの上にあったクッションを投げてきやがった。顔面にもろくらった。 「大丈夫だもん! 最近いっぱい練習したから大丈夫だもん! 失敗は成功の母だもん!」 「分かった! 分かったから! クッションを振り回すな! 痛い痛い!」  燈が落ち着くのを待つ。 「…………宮部は気にしないと思うぞ? 料理出来なくても」 「わたしが気にするの!」  女心はよく分からん。  妹は、俺の親友とでもいうべき、宮部雅彦(みやべまさひこ)が好きで、気を引くために料理を利用しようとしているのだが、おわかりのように妹は料理が出来ない。 「宮部はそんなの気にしないおおらかな性格だというのに、このバカはいつまでもぐちぐちと――――」 「…………誰に向かって話してるの?」 「はっ? 俺はいったいなにを?」 「大丈夫?」 「そうだ、水だ。水を飲みにきたんだ」  コップを取り出し、蛇口から水をコップに入れる。そのまま水を一気に飲み干す。 「ぷっはあ! 生き返るぅ!」 「ていうかさあ」  妹がエアコンの設定温度を下げながら話しかけてくる。 「節電ならエアコンの設定温度を少し上げるだけでいいんじゃない?」 「分かってないな! あの先生が普通の節電でいいと言うわけないだろ!」 「いや、知らないけど。お兄ちゃんのバカな考えにわたしを付き合わせないでよ」 「じゃあ俺にどうしろって言うんだ!」 「知らないよ。自分で考えれば?」 「ちくしょー! こんな家出てってやるー!」 「は~い、いってらっしゃ~い」
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