星遊び

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一人の少女が、街灯に照らされた交差点を歩いていた。 夜の交通事故が多いことで有名な交差点で、比較的夜でも明るくなるよう街灯の位置などが調節されている。 しかし、そんな努力も虚しく、この交差点は、自殺の名所、事故の名所などとして、有名になっていった。 死にたいという思いを抱えていたり、メンタルが弱かったり、不幸が起こって思考がマイナス思考になっていたり。 様々な心の問題を抱える人が、夜のこの交差点に訪れると死に易いとか、確実に死ねるなどという噂がある。 その噂に信憑性があるのかと問われれば、あると言える人は少ないが、何かとよく事故が起こる交差点であったため、その手の噂はあちらこちらで囁かれていた。 初めてここで事故を起こして、死んだ人間が仲間を呼んでいるとか。 地理的にいい位置にないため、悪いパワーが溜まっているのだとか。 解けない呪いがか、かっているのだとか。 あまりいい噂ではない。 怖い話が好きではない人間からすれば、避けて通りたい噂なのである。 しかし、この交差点を通らなければ家に帰れない、仕事や学校などに行けないという人がいるのも事実で。 実際、かなりの人が使う重要な交通網となっていた。 だからこそ、事故も絶えない上に、噂もまことしやかに囁かれ続けているのだ。 正直、この交差点を歩く少女だって、この道は通りたくはなかった。 だけど、家の立地上、この交差点を通らざる得ない。 噂は知ってはいるけど、あまり信じていない両親は、安く土地を買えたのだと喜んでいるけれど。 噂に恐怖している、恐いものが苦手な少女は、就職したら絶対に家を出ると決めていた。 こんなところ、恐くて住めない。 それが正直な気持ちである。
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