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「忠には悪いことしたかな。
奥さんも娘さんもいるのに、ここに住むの強制しちゃって…」
申し訳なさそうにそう言ったのは将くん。
皆で一緒に住もうって最初に言い出したのは将くんだった。
でも――
「いえ、そんなことないです。
俺、リーダーから声かけてもらえてうれしかったっスから」
「そうだよ、将くん。
みんな将くんの気持ち知ってる」
俺は箸を止め将くんの方を見て言った。
「それに、みんな同じ気持ちだから」
皆がテラスのテーブルを見た。
奥の方にあと一席ある。
よくあいつが好んで飲んでたメーカーの缶ビールと、1人分の料理が乗った皿。
そのどちらも減ることはない。
あいつはここにはいない。
来ることもない。
…あいつはもういないのだから。
「メンバーは皆で支え合うもの、でしょ?」
いつか将くんが言った言葉だ。
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