0.1-水野忠の生まれ変わった日

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その日、はじめて彼を見た時、俺の役目は終わったのだと思った。 悲しくはなかった。 むしろほっとした。 どれだけがんばっても、その場所が俺のものになることはなかったから。   いつもどこかで違和感を感じていた。 ここにいるべきなのは俺じゃない。 俺はあの人の代わりを務めているだけに過ぎない。 ずっとそう思っていたからこそ、俺はただこのバンドの方針に従ってやってきた。 俺は自分の意見を言うことはなかった。 ずっとどこかで皆に遠慮していたのだ。   皆と一緒にやる音楽は楽しかった。 これは嘘じゃない。   でも、窮屈だった。   だから、これですっぱり諦めることが出来ると思った。   彼なら、きっとやってくれる。   俺はこのバンドが大好きだった。 だからこそ、俺はここから離れたかった。
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