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その日から俺はそれまで以上に音楽に没頭していくようになった。
力をつけるために今までの楽しいだけだったバンドを辞めて、いろんなバンドを回った。
そうしているうち、俺はあこがれの園山健(そのやまけん)と知り合うことになった。
うれしかった。
彼に認められて、本当にうれしかった。
だけど、それでも足りない。
俺は少しでもあの人達に近づきたくて。
でも、俺がどんなに足掻いても、それ以上のスピードであの人達は俺の手の届かないところへ行ってしまう。もっともっと…
そんな時、まきが妊娠した。
高校を卒業した俺はバイトで生計を立てながらミュージシャンとしてやっていくつもりだった。
そんな俺の気持ちを知ってか、まきは泣きながら俺に謝ってきた。
『足ひぱっちゃってごめんなさい。
でも、この子を堕ろしたくないの』
そう泣きながら訴えるまきを見捨てるなんてできなかった。
まきは俺が初めて愛した女だった。
責任は俺がとる。
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