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だから俺は今日まで健さんの後を継いでやってきた。
つらいことはそりゃあった。
健さんのファンの中には、健さんの死を受け入れられない人や、健さんの代わりなんていらないと思っている人だっていた。
嫌がらせだって受けた。
俺だけならまだしも、中にはまきや娘にまで嫌がらせをする人もいた。
そんな時にもまきは一生懸命耐えてくれた。
俺は本当にいい女と結婚したんだと思った。
…つらかった。
でも、楽しかったな。
俺はその日の夜、まきと娘の住むマンションへと向かった。
ふたりにはよっぽど忙しいとかツアー中とかじゃない限り毎日会うようにしていた。
ちゃんと会わないと子供に顔を忘れられるぞという高木さんの脅しを受けてからは尚更心掛けていた。
でも、夜に訪れることはほとんどなかった。
一応トワバナのメンバーであるからには、あのシェアハウスに帰るようにしたいと思っていたからだ。
でも…今日はそれを破ろう。
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