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彼がシェアハウスに来てから1週間。
覚悟はできていると思ったのに、どうやらそんなことはなかったらしい。
俺はずっと葛藤していた。
このまま俺がなにも言いださなければ、きっと誰もなにも言わないだろう。
…でも、それじゃダメだ。
健さんのおかげで俺は夢を見れた。
叶うはずのない夢が叶った。
一度は諦めたドラマーの夢が、憧れのバンドで叶うなんて思ってもみなかった。
それに、トワバナという国民的バンドに入ったことで、まきの親父さんも本当の意味で俺のことを認めてくれた。
健さんは俺の恩人。
だから今度は、俺が健さんのためにできることをしなければ。
健さんが今望むことはなにか。
そんなの、1つしか思い浮かばなかった。
部屋につくと、優しい笑みを浮かべたまきが迎えてくれた。
娘、ほのかはもう寝てしまったらしい。
まきは俺の気持ちをちゃんと理解してくれていた。
きっと俺の決断を反対したりはしないだろう。
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