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あの人と比べられるのはつらかった。
俺じゃあの人の代わりになんてなれるはずがなかったのだから。
それでも、すごく楽しかった。
失くすのが惜しいほど、あの場所はとても輝いていて。
あの人達と過ごす日々は何物にも代えがたいほど楽しかった……
これで、もう終わりだ。
まきの腕の中。
ひとしきり泣いた俺は、ケータイを手に取った。
数コールののち、その人は電話に出た。
「…あ。もしもし社長?俺です、忠(ただし)です。夜遅くにすみません。
話したいことがあるんですけど………」
涙のせいで詰まってしまった鼻をすんとすすって。
…明日は、髪でも切りに行こうかな。
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