0.2-河崎将と彼の出会い

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久々に聴いた彼らの演奏は、想像以上のものだった。 彼らの音楽がここまで人を引き付けるものだとは思わなかった。 僕達が会わない間になにが……。 いや、僕が知らなかっただけなのか。   この世に、こんなに人の心を掴んで離さない曲が存在するなんて思わなかった。 僕は一瞬にして彼らの音楽――そして、彼の歌声の虜になったんだ。   はじめて彼らの曲を聴いた時、僕は泣いた。   どうして泣いてしまったのかは自分でもわからない。 音楽にこんな力があるなんて初めて知った。   そして同時に、この子達と一緒にバンドをやりたいと思ってしまったんだ。 僕は苦しかった。 望になんて言えばいいのかわからなかった。 望と一緒にバンドをやりたいって言う気持ちは嘘じゃない。 でもそれと同じくらい、この2人の魅力に圧倒された。 そんなわがまま通用しない。 どっちも選ぶなんて許されない。 だって初瀬響一も望も、同じヴォーカルなんだもん。 どちらかをとれば、残る片方を諦めることになってしまう。
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