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その日はよく晴れた日だった。
俺はそれまでずっと住んでいた部屋を解約して、ある場所を訪れていた。
都会の喧騒から少し離れた静かな場所。
そこには、真新しい大きな家が建っている。
すぐそばにある駐車場に車を停めて、それから庭に向かって歩き始めた。
駐車場には見覚えのある真っ赤な高級車と改造されたバイクが停めてあった。
ということは、ふたりは確実に着いているはず。
案の定、広めにデザインしておいたテラスで、見覚えのあるふたりがなにやら準備をしていた。
「あ、響(きょう)さん!」
そのうちのひとりが、俺に気づいて人懐っこい笑みを浮かべた。
金髪の、勝気そうな目をした少年。
彼の名前は心平(しんぺい)。
うちの下手(しもて)ギターだ。
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