1 帰郷

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「なんだ……また誰かが乱痴気騒ぎを起こしたんか?」 簡素な机上に頭を預けて、やや疲労の色を隠しきれない看守の男が、今しがた入ってきた二人に一瞥を送る。 「身の程知らずの田舎者を連れてきた」 「はぁー……今日で五人目だよ。これだから王都勤務は嫌なんだ」 看守は恨みの籠った重いため息を吐く。 「栄転、栄転と御両親も喜ばれておったではないか」 「そうなんだけど、こんな場所に半日も拘束されたら気が滅入りそうだよ」 そう答え、そのままものぐさな視線を青年に移した。 「なに君がその乱痴気騒ぎを起こした本人?」 「話の流れからそうみたいですね……」 「ちょっと調べないといけないから所持品を出してくれる?」 看守は嗤笑(ししょう)と億劫が入り交じった表情を投げ、手慣れた様子で仕事をこなす。だが数多の犯罪者を相手にしてきた看守でせさえも、この青年は常軌を逸していたらしい。 「……君ふざけているの」 看守の顔は笑っているが、眼光は鋭く冷やかな光を有していた。 「またまたそんなことないっすよ」 青年は言下に否定してブンブン顔を横にふる。
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