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所持品検査のため机上に置かれたのは、青年の全財産である古びた木の棒と数枚の硬貨。その他にもパンツと薄汚れたローブが置かれていた。そう青年は裸であった。
二人は彼の突飛な言動に、呆気にとられ固まる。
そんな重々しい空気のなか、青年は誤魔化すため「エヘヘヘ」と気色悪く一笑する。が、二人に睨まれたためすぐに止める。
看守は厄介事を持ち込んだ元凶である顔馴染みの衛兵を睨む。その眼は、説明を求めていた。
「……知らん」
と短く一言だけ答えて衛兵は黙りこむ。
彼はもう当分は関わりたくないようで、顔を背けどこか遠くを見つめていた。
逃げ場を失った看守は後頭部をガシガシとかきむしり、転職することを本気で考え始める。そのためにはまず目の前の問題を片付けないといけないわけであって、数分前よりもやる気と生気に欠けた表情で質問を始めた。
「それで、この木の枝は?」
青年の所持品に目を向け看守は不自然な点を問い質すが、
「背中を掻くのにちょうどいいんすよ」
青年はボリボリと掻く仕草を見せ、
「こんな少ないお金で旅を?」
「いやー大変だったー」
と、誇らしげに胸を張り、
「最後に……なぜ裸なんだ?」
「えっ、だって所持品出せと言ったのはお前じゃん」
と、詫びいれる様子もなく、さも当たり前のように言い放つ。まったく会話にならない。
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