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「セントラル国王の名の元に命ずる。この場から今すぐ去れ。命令を反するものは問答無用に連行する」
誇り高きセントラル王国の兵士として、日々の訓練で鍛えた頑健な肉体と精悍な面魂から放たれる殺気が、ビリビリと大気を震わせていた。
辺りは水を打ったように静まり返る。
それでも、しばらく経てばまだ騒ぎ足りない者も居るようで、再び笑いさざめき始めたが、衛兵はギロリと睨んで許さなかった。
「二度も言わんぞ」
その鋭い眼光と感情を灯さない冷然な声音に野次馬たちは冗談ではないことに気がつく。
「お、俺は、な、なにも関係ないからな!」
「ひぃ! とばっちりはごめんだ!」
彼らは我先にと蜘蛛の子を散らして散っていき、残された青年と衛兵の間に砂埃を運ぶ風が颯々と冷たく吹く。
通りには人どころか、鼠一匹もいない。青年と衛兵の二人だけである。
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