願いの反動

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 翌朝、私は普通の箸で朝食を食べていた。カレーが続いた事がちょっと怖くて、願う事をためらっていた。  食事に関する願い事に限らず、その願い事に対して二回から三回はその願い事に関したことが不幸として返ってくるのかもしれない。    だとしたら、例えば、恋愛に関する願い事をしたら、それに関わる不幸があるのだろうか。  私はその考えを確かめたいと思った。しかし、今はもう普通の箸で朝食を済ましてしまうところだ。このタイミングで箸を変えるのもおかしい。    しかし、奇跡は起きた。コツンッと私の右ひじに何かがぶつかって、腕がビリビリしてきて、箸を落としてしまった。  「おお、すまん。大丈夫か」    パパが私に謝った。新聞を持った手が私の肘にぶつかったみたいだ。でも、そのおかげで箸を交換するチャンスがきた。 「気をつけてよねパパ」  木なんか体につかないぞ、という寒いおやじギャグを聞き流しつつ、私は白い箸を取りに行った。  そして、私が好きなクラスメイトの男子から告白されますようにと願いながら、残った朝食を食べ終えた。
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