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ある日、僕宛に小包が届いた。何かは全く心当たりがなかった。
「最近ネットで頼んだ覚えもないし…」
開けてみるとそこには、
堂本和人様
このたび弊社が開発した、人と人との心の距離を測ることができるメガネ「ハートグラス(仮)」のモニターにご応募いただき誠にありがとうございます。…
そんなことが長々と書かれた紙と説明書あと眼鏡があった。眼鏡は見た感じ普通の眼鏡だった。説明書を読んでみると
これをかけると意識した人と自分の心の距離が測れます。距離はmで表されます。
すごく簡単に書いてあった。全体的に怪しいが体に害はないだろうし僕は早速明日から学校にかけていくことにした。
「いってきます」
「あれ?あんたそんな眼鏡だったっけ?」
母に呼び止められ少し焦った。ばれたか?
「気のせいかな?いってらっしゃい!」
そうだ、母で一度試してみよう。僕は、母をじっと見つめた。すると、
『54m』
うーん。遠いのか近いのか基準がわからないな。
「何してんの?お兄ちゃん」
中三の妹のいちかだ。
『51m』
「いってきま~す」
そう言って、いちかは家の前で待っていた友達と学校へ向かった
そして、僕も家を出た。
僕は、学校に向かう途中すれ違う人に試してみた。すると、『100m』
大抵みんなこんな感じだった。中には『105m』という人もいた。
まあ、他人にじっと見られているのに気づいたら嫌悪感を抱くよな。
多分基準は100mなのだろう。
教室に着いて早速友達にも試してみた。
「おっす!おはよう!」
近藤が話しかけてきた。近藤は僕の親友と言っても過言ではない。じっと見てみると『67m』
親友でこんなものか。
「なんだよ、じろじろ見て。気持ち悪ぃ」
『69m』
「何でもない、ごめんごめん。そういえば、あのマンガの最新刊買ったんだけど読む?」
「おお!まじか!前の巻すごくいいところで終わったから気になってたんだよ」
『67m』
なるほど、数字も前後するのか。
一度整理してみると基準は『100m』で僕と親しくなると数字が小さくなり逆に嫌われると大きくなる。家族は50~60m、親友は60~70mってところだろう。
そんなことを考えていると、憧れのあの人が入ってきた。
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