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黒いロングの髪に整った顔のパーツ、ふっくらした唇が何とも言えない。彼女を見ているだけで心が癒される。僕は彼女に恋をしている。彼女の名前は葛城ひなた。そうだ、測ってみよう。じっと彼女を見つめた。
『1317m』
「え!?なんで!?」
「どうした?どうした?」
思わず声が出た。
全く心当たりのない数字。
何も関係ないの人が『100m』だった。最高でも『105m』。
それなのになんで『1317m』!?
嫌われるようなことをしたような覚えはない。
そもそも、高校二年生になって女子とまともに話していない。
気づかないうちに嫌われた!?
うわ~まじか~何が駄目だったんだ?顔か?顔なのか?
僕のテンションはガクッと下がった。
「今日のお前なんかおかしいぞ」
近藤がそう言って、一限目の開始のチャイムが鳴った。
その日の授業は全く身が入らなかった。
考えれば考えるほど深みにはまっていった。
昼休みになるころにはもう僕の周りの空気は黒くよどんでいた。
「今日はどうしたんだよ?朝から何かおかしいぞ」
近藤が弁当を持って近づいてきた。
「別に…」
僕は変な笑いが込み上げた。
「俺たち親友だろ!困ったときはお互い様だ!」
「近藤…」
そして、僕は近藤に眼鏡のこと、そしてあの彼女のこと。
「面白そうじゃねえか、ちょっと貸してみろよ」
眼鏡をかけた近藤がじっと僕を見つめてきた
「65mってでてきたぞ」
心の距離はどちらから見ても一定らしい。
「そうだ!おーい!真美!」
真美というのは近藤の彼女だ。ショートカットで少し髪の毛が茶色がかっていて明るい子なんだろうなという印象を受ける
「どうしたの?」
きょとんとしている。真美をじっと見つめた。
「なになに?」
真美は全く今の状況理解でできず、戸惑っていた。
「愛してるよ」
「私も?」
うるせぇ。僕は心の中でぽつんとつぶやいた。
二人は僕の前でいちゃついて真美は元のところへ戻った。
「何mだった?」
「ひ・み・つ」
近藤は指を横に振りながら言った。
「教えてくれてもいいじゃんか」
すると、近藤は悟りを開いたような顔をして
「恋ってのはな、誰かに教えてもらうもんじゃねぇ。自分で発見していくからこそ、その人に真剣になれるんだよ」
最後に僕に向かってドヤ顔を食らわせた。
「まだまだ、高校生活長いんだし諦めんなよ」
そう言って、僕の背中をドンとたたいた。
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