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その日の空は青かった。
どこかの世界ではそれは当たり前のことなのだが、
この世界の空は基本的に曇天なのである。
鉛を流し込んだような空は鬱蒼とした森にも似た、
そんな重みのある息苦しさをまざまざと見せ付けるのである。
だがその日晴れ渡った理由はひとつの憂いが終わりを遂げたからである。
光の閃光は空からではなく、
大地より発せられて、
空をも切り裂いたのである。
だが、
その光も今は薄ぼんやりと頼りなく揺らぐ程度になっていき、
もはや閃光の面影はない。
やがてゆっくりと消えていき、
大地に一人の男が横たわっていた。
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