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彼
「やぁ、ボブ、ギターを聞きに来たよ」
ボブ
「お!よくきてくれたな!・・・まぁ、聞いてくれよ!」
彼
「うまいね」
ボブ
「そうでもねぇよ、現にこうやって、小銭を稼ぐのが精一杯だ」
彼
「そうかい?私は好きだけれどな」
ボブ
「ありがとうよ、あんたの好きなジャンルとかはあんのか?」
彼
「意外とね、ロックが好きなんだ」
ボブ
「ロックか!いいねぇ、んじゃいくか!」
彼
「いいね、私もギターを持ってはいるんだけどね、君みたいに弾けないのが残念かな」
ボブ
「そっか、でも、俺は嬉しかったぜ、認めてくれる奴がいて、さ・・・」
彼
「傷の舐めあいかもしれないけれど、共有するというのは大事だと思うんだ」
ボブ
「共有、か・・・」
彼
「よかったら、家に来るかい?狭いアパートだけど」
ボブ
「・・・いいのか?」
ボブ
「なぁ、あんた、なんで俺を助けてくれたんだ?みんな無視して通り過ぎていってたのに・・・」
彼
「善きサマリア人の話は知っているかい?」
ボブ
「いや・・・知らないな」
彼
「ある人がエルサレムという大きな都からエリコという町へと下っていく途中、追いはぎに襲われてしまいました。
追いはぎは その人の持っているもの全部と着ていた服を剥ぎ取り、殴りつけ、半殺しにしたまま行ってしまいました。
ある祭司がたまたまその道を下ってきましたが、息も絶え絶えのその人を見ると 道の向こう側を通っていってしまいました。
それからしばらくして、レビ人もやってきましたが、その人を見るとやはり道の向こう側を通って行ってしまいました。
しかし そのつぎにそこを通りかかったサマリア人は倒れているその人を見ると、気の毒に思い、近寄って傷に油とぶどう酒を注ぎ、
包帯をして自分のロバに乗せ、宿屋に連れて行って、介抱しました。
そして その翌日、デナリオン銀貨2枚を取り出して、宿屋の主人に渡してこう言いました。
この人を介抱してください。費用がもっとかかったら 帰りがけに払いますから」
ボブ
「なんだか、牧師みたいだな、あんた」
彼
「私は牧師ではないよ、そんな教養もないし」
彼
そんな話をしながら歩き、私はボブを自分のアパートへと連れてきた。
ボブ
「いやぁ、助かるぜ、外は寒いからなぁ・・・」
彼
「少し狭いけれど、悪いね」
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