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しばらく、放心状態だった私の後ろから、クスクスと笑う声が…
ドキッとして、振り返ると
肩を揺らしながら笑う桐谷さん。
『はい、これ。君の携帯。
急に猛ダッシュで走って行くから……。渡し損ねちゃったね。』
と、携帯をすっと私の前へ
『先ほどは、す、すみませんでしたっ。あ、あの、わざわざ、ありがとうございました。私の事、ご存知だったんですね……』
俯き加減に、そっと、携帯を受け取り、そう答える私に
『もちろん、ご存知だよ(笑)
早川 優さん、入社2年目……の23歳。ちなみに、今日は休日出勤。渡辺専務のお供で、これからお得意先との会食だよね。
なのに、こんなに早く出勤。
しかも……遅刻する~って慌ててダッシュしちゃう、ちょっと慌てん坊さん??かな』
と、またまた、肩を揺らしながら話す桐谷さん。
情けないやら、恥ずかしいやら、
ますます、顔を上げられなくなり、真っ赤なまま俯くだけの私。
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