第1章

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しばらく、放心状態だった私の後ろから、クスクスと笑う声が… ドキッとして、振り返ると 肩を揺らしながら笑う桐谷さん。 『はい、これ。君の携帯。 急に猛ダッシュで走って行くから……。渡し損ねちゃったね。』 と、携帯をすっと私の前へ 『先ほどは、す、すみませんでしたっ。あ、あの、わざわざ、ありがとうございました。私の事、ご存知だったんですね……』 俯き加減に、そっと、携帯を受け取り、そう答える私に 『もちろん、ご存知だよ(笑) 早川 優さん、入社2年目……の23歳。ちなみに、今日は休日出勤。渡辺専務のお供で、これからお得意先との会食だよね。 なのに、こんなに早く出勤。 しかも……遅刻する~って慌ててダッシュしちゃう、ちょっと慌てん坊さん??かな』 と、またまた、肩を揺らしながら話す桐谷さん。 情けないやら、恥ずかしいやら、 ますます、顔を上げられなくなり、真っ赤なまま俯くだけの私。
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