第1章

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『さっきは、イジワル言ってごめんね。 遅刻するよなんて言って……。 休日出勤なのも知ってたし、専務と会食に行く事ももちろん、知ってたんだ。昨日、渡辺専務から、僕も一緒に行くようにって言われてね。今日の会食の相手、僕が担当してるんだ。 駅で早川さんを見かけたから、一緒に会社へ行こうかなって、声をかけようとしてたんだよ。 そしたら、君が携帯を落として……。 こうなった……ってワケ。』 優しい口調で、話してくれるので、私も落ち着きを取り戻し、やっと、顔を桐谷さんに向けると、 眩しいくらいの、笑顔で、私を見てて、またまた、私の心臓が暴れ出しそう……。 落ち着け~~ 落ち着け~~ 私……。 一呼吸……ふぅ~~っと吐いて 『そうだったんですね。今日はよろしくお願いします。 実は、専務と2人って聞いて、緊張してたんです。 失礼のないように、しないと、って思うと、ますます、緊張しちゃって…… だから、さっきも慌てちゃって… 休日出勤の事もすっかり忘れちゃってました。 ほんと、遅刻じゃなくて良かった』 やっと、いつものペースに戻った私は、普通に話せたと思う。 うん。大丈夫だよね。 あっ、桐谷さんじゃなかった……桐谷係長だ。 若干29歳にして、係長なんだ。 海外事業部のエースだもんね。 海外出張ばかりで、つい1週間前にアメリカから、帰国したところなのに……なんで、私の事知ってるんだろな… ほんと、背も高くて、イケメンで、エリート、みんなの憧れなのが、ほんと、よく分かるよ。
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