260人が本棚に入れています
本棚に追加
『早川さん??聞いてる??
専務が来られたみたいだよ。
早川さん、大丈夫??』
えっ、あっ、しまった、
ついつい、一人の世界へトリップしちゃってたよ。
慌てて、
『は、はいっ、大丈夫です。
専務のところへ行ってきます。
では、また、後ほど……』
軽く会釈をして、その場から離れようとすると
『ふっ、ほんと、君って可愛いね。今度、ゆっくり食事でも行こう』
と、桐谷係長…。
えっ、わ、私??と、唖然としてる間に、桐谷係長は出て行かれてしまった。
ハッとして、
こんな事してる場合じゃないっ、
渡辺専務の部屋をノックする
コンコン……
『おはようございます。早川です。失礼します』
渡辺専務の部屋へ入ると
『おっ、おはよう。せっかくの休みに、出勤させてしまって申し訳なかったね。多分、君にとっても勉強になるかなと思ってね。そうそう、今日は、桐谷くんも、一緒に行く事になったから、そのつもりで頼む。』
と。
『はい。ありがとうございます。
勉強させていただきます。
先ほど、桐谷係長からもご一緒される事、伺いました。
本日の会食は《神楽》に席を設けております。
出発は10時半の予定です。時間になりましたら、お迎えにあがります。よろしくお願いします。』
お辞儀をして、部屋を出ようとすると
『優くん、そんなに、畏まらないでくれよ、仕事なのは分かってるんだが…叔父としては、寂しいものがあるよ。それに、そんなに、緊張しなくても、君なら大丈夫だよ。隣には私もいるんだから、リラックスしてくれよ』
と、温かい声が専務から届いたので、私もつい
『叔父様……叔父様とのお仕事の時はいつも頼らせてもらってます。それに、いつも以上にリラックスしてるつもりなんですよ。いつもは、もっと、ガチガチなんですから……』
と言うと、専務は大笑いで
『そうか、そうか、それでもリラックスしてる方なんだな。それは、良かった。
もっと、リラックスしてもらえるように、私も頑張るよ…』
って、馬鹿にされたような、子供扱いのような、専務なりの気遣いをいただき、スーッと肩の力も抜けて、いつもの私に戻れた気がした。
『もおッ、叔父様ったら……
後ほど、お迎えにあがりますので、よろしくお願いしますねっ』
と、今度こそ、お辞儀をして部屋を後に、秘書課へ戻る。
最初のコメントを投稿しよう!