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ーside chenge to “Kaname”ー
「あぁ、すまない…ああ、よろしく頼む。」
機械を通して伝わる部下の声が聞こえなくなって携帯を閉じる。
部下の不手際を伝えて来たその電話は要の迅速な対応により、あまり大事にはならずにおわった様。
部下の不手際は上司の責任、その仕事の尻拭いを他の誰に任せるのかも上のものの手にかかっている。
今回は任せるものを間違ったのだ、と一人反省する。
もっと考えて仕事を振るべきだった、と自分を責めるのも、その愚直さ故。
“一度、会社に戻るか…”
と吐き出した言葉。
もっとも、あと数分歩けば家に着く、という状況で5駅隣の会社にいくのは要でさえあまり好んでは行きたくないはず。
だけど、これから後片付けに走るであろう部下たちのことを考えると申し訳ない気持ちがたって、
振り返り、歩き出そうとした最中
トンッ、とぶつかった衝撃。
「あぶない、」
目の端に崩れ落ちる体が一瞬、見えて。
咄嗟に差し出した腕は想像したよりもずっと軽い身体を受け止める。
「おい…おい、」
微かに声を掛けたものの、意識を失っている様で反応する声は無く、
会社へ戻るのをあきらめ、歩みを進めた。
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