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「もう遅いし、今日は泊まっていけ。
明日用事があるなら朝一番で送ってやるから。
あとは...腹は空いてるか?」
「いえ、」
春人はベットから身を起こした状態で、要はベットに腰掛けた状態で話している。
春人の意見は問答無用というようにでも進められる話はその強引さが優しさに思えて
人と居る時には全く感じることのない“心地いい”を感じる。
「そうか、なら寝るか、
はるはこの部屋で寝てくれ、俺はリビングにいるから何かあったら遠慮なく起こしてくれへばいい」
「でも...要さんがねれない、」
要さん、という呼び方も早々に決められたものでその名前を口にするたび面映ゆさが伝う。
「気にするな。ソファーもあるし寝ようと思えば寝れる。」
でも、と反論しようとする前におやすみ、と去ってしまった背中。
とん、と頭を撫でられた感触だけが残って先ほどまでは何処かに飛んでいっていたはずの“寝なければならない”という苦しみが全身を覆って。
起き上がったまま、腕を体に絡みつけ恐怖から身を守る。
いつもは一人で耐え忍ぶそれも
「かなめ、さん、」
今日だけは、その温もりを求めていた。
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