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「もう、いいのか?」
人前で泣いたのはもう、思い出せないくらい前のことで泣き止んだ顔を見せるのは恥ずかしい、と感じるくらいには心は落ち着いている。
「はい、」
「...眠れるか?」
恥ずかしさで上げられない顔を気にすることなくそう、問いてくるのが頭を撫でながらなのは少し子供っぽくて癪だけれど、それが嬉しくて、安心できて。
この人なら...要さんなら甘えてもきっと許してくれる気がした。
「あの、」
「、ん?」
「......」
「はる?」
「......寝れるまでっ、寝れるまででいいんです。...ここに、いてくれませんか?」
春人の精一杯の甘えは
「、馬鹿だな。
寝るまでじゃなくてずっと居てやる。
ちゃんとお前が起きるまで隣に。」
暖かな微笑みと共にいとも簡単に許されて目を見張ったあと、最後に一粒だけほろり、と落ちた涙。
「泣き虫め。」
目ざとくばれたそれを優しく拭われて。
「起きたらいろんな話をしよう。春人のことたくさん知りたいんだ」
「はい、」
「おやすみ、はる」
頬をすべる暖かい手に誘われて久しぶりに穏やかな眠りの中に落ちていった。
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