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「手際がいいな、」
トントンと包丁を動かしていく様子を見つめる要に
顔が少し、赤くなる。
1Rの小さな部屋に人が来たのは初めてで。
要の部屋や、固くならない程度にきちっとしたお店などには比べられないほど貧相な部屋だけれどそれでも何かお返しがしたくて家に招待したことを春人自身後悔してはいない。
だけど、
「あの、」
「ん?」
「…っ近い、」
何をするわけでもなく真後ろにいる要の何かと気になる視線や、ぶつかる手に注意が散漫して。
「向こうで、待っててください」
キッチンから少し離れた小さな机のついたソファーへと指示を飛ばす。
「これ、」
夕飯の食材と一緒に買った要が好きだというお菓子も添えて。
「っふは、わかった、向こうで良い子にしてる」
少し笑いながら机に向かう姿に心奪われるけれどよし、と一言。
しっかりと包丁を握り直した。
「」
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