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「帰る。」
もう、どうなってもいいやと、吐き出した声は騒がしかった部屋をシンとさせるくらい、意外と響いて。
「春人、ちょっと待てって春人。
悪かったって、」
それでも気にせず飛び出した部屋の外、慌てて追いかけて来た馴染みの顔にすぐさま捕まえられて行く手を阻まれる。
「悪いと思ってんなら早くこの手を離せよ」
「そんなこと言うなよ、一時間だけだって。」
「俺は瞬(しゅん)がカラオケに行こうって言うから来たんだ、合コンなんて聞いてない
それに…酒は嫌いだ、」
瞬に騙される形で部屋に入った時に女の子がいた分にはまだ我慢が出来た
不機嫌ながらにも部屋にいる気はあって、瞬を睨みながらも席に着いて…
でも、そこまでだった。
『瞬!俺らは先にドリンク頼んだからお前らもなんかたのめよー、』
そんな言葉と共に鳴った軽快なノック音。
ドリンクお持ちしましたー
と次々に運ばれてくるそれはビールや酎ハイ、紛れもないお酒、と言われる類のもの。
一瞬で顔が青くなったのが自分でも分かった。
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