第1章~出会いの章~

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他人からすればどうってことない。 ただ、“お酒のグラスが目に入った”だけ。 それだけで嫌な記憶が湧き上がり、冷や汗が流れ始めて、いてもたってもいれなくなった。 そして春人は盛り上がる部屋をよそに部屋を飛び出して来たのだ。 「頼むから、」 「...春人、おまえ」 「!、離せよっ」 ずっと捕まれたままだった手を振り払う。 誤魔化しきれないほどに手の震えは大きくなって全身へと広がり 「おい!はるとっ!」 大きな激語を無視して駆け出した直後。 力の入らない体は思う様には動かなくて “ーーーー” 何かにぶつかった衝撃。 仄かな香水の匂いに気付く頃には 目の前が既にブラックアウトしていた。
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