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他人からすればどうってことない。
ただ、“お酒のグラスが目に入った”だけ。
それだけで嫌な記憶が湧き上がり、冷や汗が流れ始めて、いてもたってもいれなくなった。
そして春人は盛り上がる部屋をよそに部屋を飛び出して来たのだ。
「頼むから、」
「...春人、おまえ」
「!、離せよっ」
ずっと捕まれたままだった手を振り払う。
誤魔化しきれないほどに手の震えは大きくなって全身へと広がり
「おい!はるとっ!」
大きな激語を無視して駆け出した直後。
力の入らない体は思う様には動かなくて
“ーーーー”
何かにぶつかった衝撃。
仄かな香水の匂いに気付く頃には
目の前が既にブラックアウトしていた。
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