ウサミ

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私の隣は、ツインテールに髪の毛を束ねた可愛い女子だった。 「私、この組の学級委員長の長田由真よ。よろしくね。」 女の子はにっこりと微笑んだ。天使みたい。 「なんだよ、長田。お前には聞いてねえんだよ。」 下卑た笑いをやめずにその男子は言った。 「バカだからバカって言ったんじゃん。アンタちっとも面白くないんだよ! アンタの言うこと、ちょーつまんない。」 そう彼女が言うと、みんながどっと笑った。 私のこと、庇ってくれたの? 私は嬉しくなった。 みんなに笑われて、恥ずかしくなったのか、その男子は 長田さんを睨みながら、自分の席に戻って行った。 どうやらこのクラスでは、仲良くやって行けそうだ。 「ありがとう。よろしくね。長田さん。」 私が小さく言うと、由真って呼んでいいよと言ってくれた。 その日の放課後、別の男子が声をかけてきた。 私は男子が苦手で、今度は何を言われるのかと身を硬くした。 「宇佐木さんって、背が高いね。何かスポーツしてたの?」 そんなことを言われて、私はしばらくポカンとしてしまった。 男子というものは、意地悪いことしか言わないと思っていたから。 その男子は、私と同じくらい背が高くて、中学生のような大人びた雰囲気を醸し出していた。 カッコいい。そう思った瞬間、私は顔が熱くなるのを必死で隠そうと俯き加減に首を横に振った。 「ええ?そうなの?背が高いから何かやってたのかと思った。勿体無いな。 バレーとかバスケとかやったらいいのに。」 私は男子の名札を盗み見た。 「柳原 竜馬」  りょうま君。心の中で呟いただけでドキンとした。 「わ、私には、出来ないよ。」 情けない声が出た。 「そんなの、やってみなきゃわかんないじゃん。そうだ。俺、ミニバスやってるんだけどさ。 見学に来ない?」 男の子にそんなふうに声を掛けられたことなんて無くて、私は舞い上がってしまった。 背が高くて得したことなんて無かったけど、こんなこともあるんだ。 「うん、見学くらいなら。」 自分の勇気がしばし信じられなかった。 その日私は何もかもがうまく行きすぎて浮かれていた。 「ねえ、ウサミ。私、今度の学校ではうまくやっていけそう!」 そう言うとウサミをぎゅっと抱きしめた。いつもにも増してウサミはふわふわで良い匂いがした。
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