ジッポーライター

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 去年の夏。  夏祭りの射的で手に入れた、このジッポーライター。  未だにガス欠にならずに使えてる。  そういえば、あの射的をやる時に、なんか不思議な感覚に捉われていたな。  何と言えばよいのか、弾を込めている最中に、 「俺、やめようかな。 この弾を撃ってはいけけない気がする……」  そんな衝動に駆り立てられていたっけな。  だけど一番獲りやすい位置にあった、ジッポーライター目がけて弾を撃つとあっさり落ちた。  拍子抜けした。  意外とジッポーライターは落としにくいはずなのに……。  簡単に落ちた。  たったの一発で。  本当にこれでいいのかと思ってはいたのだが。  こんな結末が待っていようとは。  なんか怖さというよりか、不思議な感じがする。  そして一年たってもまだ使える。  いや、不思議というより、なんだこれはと心の中で思っている。  仲間内にもこのことは言ってない。  もしこのライターが、まやかしでないのなら、俺は世界で一番運のいい男なのかもしれない。  このことは内緒にしておこう。
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