第1章

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 いつも無口な稲富くん。  彼は仲間内でも無口。  あまり会話をしない。  おまけに、一度もギャグを言ったことがない。  そんな彼になんとかギャグを言わせたい。  そんな思いに駆られ、麻雀卓の対面に座っている、川崎くんは稲富くんに向かって。 「なんかさギャグを言ってよ」  と懇談するも 「やだ」  と、一言返されただけだった。  なんとも言えない空気がその場を包む。  稲富くん以外の麻雀を打つ手が止まる。  一瞬の静寂の後。  皆が一斉に麻雀牌をかき回す。  その音だけが部屋に鳴り響いていた。      
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