自分という存在のあり方

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「……すい……碓氷さん!!」 「…!!わっ!…石黒総シェフ!お!おはようございます!」 「…凄い集中力だな。何を考えていたんだ?」 「あっ。え、と、いろいろと部署について考えてたら楽しくて…」 「ほう?いい傾向だ。そうだ。このレストランはもう君のものだ。君が考えて提案して、それが通れば実行に移す。」 「はい。アドバイス、ありませんか?私は面白そうって思ったものしかなくて。」 「それでいいんだ。それを社長なり私なり提案して。そこからアドバイスは始まる。」 「はい。」 「じゃ、ランチを始めようか。」 気付けば11時を回っていて、石黒が来ていた。 すぐにキッチンに入り、ランチのコースを覚えていく。 キッチンに入ってると、やっぱり時間の流れが早く感じる。 「…!!」 「…ん?」 「……………」 途中、やっぱり後ろが気になって振り返ると、当たり前のように絆が立っていた。 私の視線に気付くと、腫れぼったい顔をフニャリと柔らかくする。 …絆は昨日言ったことを実行する気だ。 それを理解すると、少し安心する自分がいた。 ランチが終わり、すべてのコースを実際に見せてもらったあと、石黒に礼を述べて背中を見送る。 シェフルームに入り、すぐに覚えたばかりのメニューと気付いたことをノートに書いていく。 "繰り返しは記憶の母" "記憶より記録" 暗記に自信があった私だが、臣さんはいつだってメモをとる習慣を身に付けろと言ってたっけ。 忘れた訳じゃないけど、記憶を確かめるために見たりするノートは活躍している。 「休憩もらいます。」 「お疲れさまー。」 みんなが休憩に入るときは、シェフに一言言ってから向かうらしい。 一人一人言われるので、一人一人労えるこのスタイルはとてもいい。 「…シェフ。」 「…!……どうしたの?」 「これ食って。一口でもいいから。」 「…絆。こんなことやらなくていいから。ちゃんと食べるよ。」 「…どこいく?」 「今から社長と同行。ディナーは総シェフが来てくれるから。」 やっぱり絆は、言ったことを実行。
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