不幸の三徴候

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事の発端は、数時間前に遡る。 汗の臭いと熱気が立ち込めた、まるで蒸し風呂状態の柔道場。 全ての窓を開け放したところで、道場内の気温は三十五度にまで達していた。 半袖ならまだしも分厚い道着に身を包む柔道部員にとって、八月の稽古が非常に辛いことは間違いない。 だが、この過酷な時期に毎年必ず開催されるものがある。 それが、全国高等学校総合体育大会。 いわゆる、インターハイだ。 昨年、光輝は二年生にして念願のインターハイ出場を果たした。 しかし、結果は一回戦敗退。 今年こそはとリベンジに燃え、東京都代表として再び全国への切符を手にしていた。
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