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「痛ってぇ……」
運ばれた病院から自宅までの距離が、さほど遠くないことは幸いだった。
しかし、右膝に僅かでも体重がかかると、堪えようのない激痛が走る。
もちろん、松葉杖を使用しているがそんな物は役に立たず、歩くことすら儘ならない。
――――クソッ! 何でこんなことに……。
やはり、インターハイの畳に上がることはできないのだろうか。
そんな絶望の淵に立たされた光輝が、最後の望みを託していたのは父、龍二(りゅうじ)だった。
龍二は柔道整復師という国家資格を持ち、自宅の一階で接骨院を開いている治療家だ。
幼い頃から稽古中に怪我をする度、適切な処置を施してくれた彼なら、今回も何とかしてくれるかもしれない。
光輝はそう自分に言い聞かせ、必死で歩みを進めた。
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