13人が本棚に入れています
本棚に追加
「だっ!だから!!
要とも、友達くらいにはなってやってくれ!!」
「はいっ!」
嬉しそうに俺の腕に頬擦りする姿は、恥ずかしくも何処か新鮮で、ほっと癒される気分であった。
「じゃあ!また明日。」
「はい!おやすみなさい!!
先輩。」
彼女の家は、うちから5件隣にある。
俺の方が先に着くし、近いからからとの事で家までは送らなくて良いと言われていた。
俺の家は、二階建て一軒家庭付きであり、庭には今も名残惜しむ様に、ジローの犬小屋が残されている。
〝まさか、ご近所だったとはな……。〟
などと思いながら庭を抜け、玄関の戸を開ける。
「ただいまぁ。」
「おかえ……あらっ。
いらっしゃい。」
「へ?」
母の様子がおかしい。
息子に向かい、いらっしゃいはないと思い、振り返る。
そこには、ニコニコと笑みを浮かべ佇む咲夜の姿があった。
「ちょ!?
咲夜!!?」
「えっ……
あれ?私………えぇー!!?」
〝帰ったはずの咲夜が何故ここに!?〟
当人も無自覚だった様で慌てふためいていた。
「私……先輩の事考えていたら……。」
〝無意識についてきちゃったのね……〟
真っ赤に染まった顔を必死に隠ししゃがみこむ彼女に、どう対応して良いかわからない。
「あらー。
かわいいわねー。
彼女?
あんたも隅に置けないなぁ。」
と、嬉しそうな表情をする母は、彼女の前に座り頭を優しく撫でる。
「あなた、お名前は?」
「藤次……咲夜です。」
「あーっ!!
藤次さんの所の咲夜ちゃんだったかぁ。
大きくなったわねー。」
「はい。」
「私の事は、お義母さんって呼んで良いのよ?」
「ちょ!母さん!?
気がはや………。」
「お義母様………。」
最初のコメントを投稿しよう!