第1章 彼女がやって来た。

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「ちょっ!!」 「ご……ごめんなさい。」 破れた下着を俺の手から奪い返し、ギュっと抱きしめる様に隠す感じが、ふつふつと何か違和感を感じさせる。 〝んー。前にも似た様な事が……〟 「本当にごめんなさい。先輩! 私………。 ただ、かたし忘れた洗濯物を……」 「あっ……あぁ……。 まぁ……一枚しかない訳じゃないから、別にいいよ。 それに、下着は自分でかたすからさ。」 「……。 はい……。」 しょんぼりとした表情で、破れた下着を返してくる。 〝なんか……二郎っぽい……〟 そう、飼い犬であった二郎も、悪さをすれば、この様にしょんぼりした表情をしていた。 咲夜と二郎。 色々と共通点がありすぎた。 〝まさか…… 二郎の生まれ変わりって事は無いよな?〟 何故かそう言う疑念が晴れない。 年齢からして、二郎が死んだ年に生まれている可能性がある。 〝なーんか…… 気になるんだよなぁ…〟 俺は、不自然にもさり気なく聞いてみる事にした。 「ハハハ… 気にしなくて良いよ。 それよりさぁ。誕生日っていつ?」 「ふぇ? 誕生日?……ですか?」 彼女は首を傾げ、不思議そうな表情で目を合わせてくる。 〝そーりゃそうだよな! パンツ破られた後にする話じゃねーよな!〟 俺は言って後悔した。 どうして今なの?って思念が彼女の頭の中をグルグル回っているに違いない。 〝ナニ聞いちゃってるの? 俺……〟 と言う罪悪感に似た心を引き裂く様な不安が襲ってくる。
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