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「はぁ~。
俺…もういくわ……。
要…待ってるだろうし……。」
「あっ!!
待ってください!」
「うっ!」
袖引くとはこの事なのか。
制服を指で摘む様に引き止められ、俺の心は一瞬揺らいだ。
「えっ…と。
咲夜……さん?」
「はい!!私…藤次咲夜といいます!
えーっと……。んーと……。」
何か言いたいのに言えない表情に見惚れてしまう。
頭の中では、こいつはストーカーなんだと言い聞かせているも、鼓動は、そう言ってくれない。
「なっ…何でもないなら行くから!」
その場から早く立ち去りたかった。
激しく高鳴る鼓動が彼女を直視させず、動きすら鈍せる。
そんな状況下にいる自分へのもどかしさに耐える事など出来無かった。
「待ってください!先輩!!
私!あなたの事が……」
覚悟をしていたとは言え、もはや言葉を発する事が出来ないほど、鼓動が高鳴り立ち止まる。
俺は、その先の言葉が聞きたくてしょうがない。
それに、ストーカー行為についても聞きたい。
〝早く言え!早く!!〟
「好きです!
付き合ってください!!!」
〝きたぁぁぁぁぁぁ!!!〟
その言葉は、正樹の心を天にまで、昇らせる。
「お……俺でいいの?」
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