第1章 彼女がやって来た。

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「じゃあ!じゃあよ? 俺が遊びに出ると必ず見かけたのって……。 それに!必ずうちを覗いてから帰ってたよね?」 「あの辺、遊べる場所あまりないから、限られちゃいますよね? 先輩の家に犬小屋あるじゃないですかぁ。 いい犬小屋だなぁって! 犬小屋好きなんですよ。 色々なデザインがあるから、見てて楽しいです!」 〝ばっ!?馬鹿な……… 俺は……思違いを!?〟 所詮馬鹿な男の一人と気付いてしまった。 一気に恥ずかしさが増し、顔を隠してしまう。 「先輩? あー!もしかして、私がストーカーしてたと思っちゃいました?」 「うっ!?」 「………。 でも…先輩のこと昔から好きだったのは否定しませんよ? その……ずっと見てましたし。」 と、一瞬表情を曇らせるも、それを肯定してくれた。 〝きっと、的外れだったんだな〟 それでも合わせてくれた彼女の優しさに、感謝し合わせる様に答える。 「そっ……そうなのか。」 「そっそのー。 先輩っ!これから……よろしくお願いします。」 「おっおう! よろしくな。」 彼女の表情は、初々しくとても新鮮に感じる。 そのせいか、互いに目を合わせることが出来ず、そっと手を繋いだ。 「かっ……帰りましょう…先輩……」 「う…うん。」 2人は、校門に向かい歩き出す。 〝勘違いから始まる事もあるんだなぁ……〟 と、いまだ信じられぬ出会いに感謝していた。
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