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丁度、校門前に差し掛かった時、背後より要二郎が走ってきた。
「おーい!
正樹ぃぃ!!!」
「あっ!二郎!」
二郎の名前を呼んだ時、彼女の手からビクッと震える様な振動が伝わってきた。
「ハァハァハァ。
お前!何処いってた!!」
「あっ!?悪い!!
探したか!?」
〝そう言えば、この後ゲーセンに行く約束してたっけ?〟
二郎との約束をすっかり忘れていた。
「当たり前だろ!!
しかも、お前っ!!!
あの子じゃないか!!!
紹介しろ!」
「あっ!そうだった。
彼女は、藤次 咲夜。
でっ、俺の親友で要二郎ね。」
「要二郎です。
よろしくっ。」
「…………。」
彼女は俺の背後に隠れ、まるで、知らない叔父さんを観るかの様な目つきで見つめるだけで、挨拶一つしない。
それが、とても悲しい。
「藤次さん?」
「あっ。すいません。先輩っ!
私の事は咲夜と呼んでください!」
明らかに、俺の時と態度が違う。
その変わり方に、さすがの二郎もしょげ始めた。
「俺……嫌われてる?」
「そんな事ないさぁ!
なぁ。咲夜っ。」
「……………。」
「咲夜………さん?」
「嫌い………ではないですけど………。」
彼女は明らかに警戒していた。
ヒシヒシと伝わる彼女の威圧感が背筋にぴりぴりと響く。
「とっ!所で再度聞くが2人の関係って?」
と、話題先を俺に変えてきた。
「あー。その…なんだ。
実はな。」
「私達!付き合う事になったんですよねー!」
だが、割り込む様に彼女が答え、再び二郎を睨みつける。
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