第1章 彼女がやって来た。

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丁度、校門前に差し掛かった時、背後より要二郎が走ってきた。 「おーい! 正樹ぃぃ!!!」 「あっ!二郎!」 二郎の名前を呼んだ時、彼女の手からビクッと震える様な振動が伝わってきた。 「ハァハァハァ。 お前!何処いってた!!」 「あっ!?悪い!! 探したか!?」 〝そう言えば、この後ゲーセンに行く約束してたっけ?〟 二郎との約束をすっかり忘れていた。 「当たり前だろ!! しかも、お前っ!!! あの子じゃないか!!! 紹介しろ!」 「あっ!そうだった。 彼女は、藤次 咲夜。 でっ、俺の親友で要二郎ね。」 「要二郎です。 よろしくっ。」 「…………。」 彼女は俺の背後に隠れ、まるで、知らない叔父さんを観るかの様な目つきで見つめるだけで、挨拶一つしない。 それが、とても悲しい。 「藤次さん?」 「あっ。すいません。先輩っ! 私の事は咲夜と呼んでください!」 明らかに、俺の時と態度が違う。 その変わり方に、さすがの二郎もしょげ始めた。 「俺……嫌われてる?」 「そんな事ないさぁ! なぁ。咲夜っ。」 「……………。」 「咲夜………さん?」 「嫌い………ではないですけど………。」 彼女は明らかに警戒していた。 ヒシヒシと伝わる彼女の威圧感が背筋にぴりぴりと響く。 「とっ!所で再度聞くが2人の関係って?」 と、話題先を俺に変えてきた。 「あー。その…なんだ。 実はな。」 「私達!付き合う事になったんですよねー!」 だが、割り込む様に彼女が答え、再び二郎を睨みつける。
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