第1章

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「よっしゃ終わったぁ~っ!」 ホールの掃除が終わり、モップを片付けて伸びをする。 居酒屋のバイトを始めて早1ヶ月。めっちゃ眠いけど、初めての給料日だからちょっとドキドキしてる。 「門脇君、お疲れ様」 パソコンの、勤務終了をクリックすると、ちょうど店長が入金から戻ってきた。 馴れ馴れしくてあまり好きなタイプではないけど、今日は特別だ。店長、帰ってきてくれてとても嬉しいっす。 「給料着替えてからにする?今にする?」 「ああ、今で大丈夫ッス」 「そう?じゃあ、はい」 茶封筒が目の前に差し出される。慌てて立ち上がると、俺は両手でその角をつまんだ。 「あ、あざッス!」 ついどもってしまった。 「はいはい。明日…は来ないのか」 「はい、ちょっと用事があって」 「用事があるなら仕方ないか。シメありがとう、来週もよろしく」 「お願いしゃッス!」 にこにこしたまま、店長はキッチンのシメの確認に行った。 「……」 手の中の茶封筒。この中に俺の初給金が……。 ニヤニヤが止まらないが、とりあえずさっさと着替えて店を出た。 明日は大事な日なのだ。
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